構造計画:円酒構造設計 照明計画:杉尾篤照明設計事務所

施工:村岡建築 コミュニティデザイン:little comm. ロゴデザイン:DEJIMAGRAPH

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HOGET / ホゲット

長崎県西海市/カフェ・多目的スペース/2020年竣工

写真:YASHIRO PHOTO OFFICE(特記以外すべて)

 長崎県西部にある西彼杵半島の大部分を占める西海市。ここには鉄道も高速道路も通っておらず県内の主要インフラ動線から外れており、何らかの用事がなければ県民でもあまり馴染みのないエリアとも言える。それゆえ、現代社会に良くも悪くも消費し尽くされていない。例えば大手チェーンの飲食店や量販店はほぼ存在せず、もともとそこにある地域資源と今でも密接に暮らしている。そんな地域の中で民家を改修する依頼を受けた。


 もともと用途も定まっておらずどのような場にしていくべきかを含めて話し合いを進めてきた。結果的にはイベントスペースを中心にカフェ、ファブラボ、オフィス、原っぱといった複合的な用途となった。地域住民も西海を訪れる他地域からの人々も混在し、様々な目的で様々な人が行き交い、相互の活動に自然と触れ合うような場をつくろうとしている。


 建築計画としては、まず敷地を訪れて最も印象的だったのは、民家をどう改修するか以前に土地全体からくる威圧感であった。道路から2m以上レベルの高い基壇が敷地中央付近から立ち上がり、民家はその上に閉鎖的な構えで(もともと住宅のため当然であるが)建っていた。石垣や瓦の素材感も相まって要塞のようなものものしい雰囲気が漂っており、この場所でこれから起こしていきたい様々な活動が周囲になかなか波及しにくいのではないかと感じた。


そこで、敷地中央の基壇をゆるやかに解体し大きな階段に変容させ、民家とまちを緩やかに連続させるようにした。民家の隣には程良い広さの広場があり、大階段によってこの広場も周囲と連続した関係を持ち始める。民家はこの広場とまちに対して開口部を広く取りシンプルに開く形を取った。結果的に子どもたちがどこまでも無邪気に走り回るランドスケープが出来上がった。


新たに付け加えた開口部の周囲には袖壁も新設した。これは片持ち庇の柱を内包するとともに両面に構造用合板を貼り既存民家の耐震補強壁を兼ねている。また庇は横から見ると段々状になっており、長崎県内に集成材工場がないことを考慮し、県内に流通している105x105角材の組み合わせで製作できる重ね梁の形状をそのまま現すことにした。


民家の内部については元々の質感をベースとし、床を3箇所剥がし、中央の空間をエキスパンドメタルで包んだ。このエキスパンドメタルは状況に応じてパーティション代わりにしたり全面を開いたり閉じたり出来るようにしている。


また、施工期間中にワークショップイベントを2回行った。一回目は床の基礎立ち上がり部分の塗り壁、二回目は床とカウンターの木枠貼り。どちらも空間に重要な印象を与えているとともに新たなコミュニティの形成にも繋がっている。