南畑ピノキオ森のこども園
南畑ピノキオ森のこども園
福岡県那珂川市 認定こども園 2022年3月竣工
写真 中村絵
構造設計:円酒構造設計 設備設計:シード設計社 照明計画:杉尾篤照明設計事務所
ランドスケープ:デザインネットワーク 施工:黒木建設・大匠建設JV
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福岡県那珂川市にて2つのこども園を同時に計画しました。市から運営移譲される形でどちらも同じ法人が運営を行います。
計画地である那珂川市は福岡都市圏の一部を構成しており、福岡市に隣接し、北部エリアではベッドタウンとして発達し、人口は今でも増加しています。一方それ以外の地域では農地や山地が広域に残り、自然環境豊かな場所が数多く存在します。前者の地域に岩戸北こども園、後者に南畑こども園の敷地があり、市も運営法人も同じですが、置かれている状況は全く異なっていました。
福岡ピノキオこども園は端的に言えば都市的なエリアであり、定員が220人以上となるため、大人数に対してどう保育の質を落とさず運営していくか、運営面での課題が建築計画にも影響しています。具体的には最大約180名となる3~5歳児を1つの集団として見守るのは難しいため、90名×2つのゾーンに分けるプランニングにしています。しかし各グループや異年齢間を完全に断絶するのではなく、あくまで保育園全体は一体的にどこまでも行き止まりのないような環境をつくりたいという運営法人の想いもあるため、下から1階・中庭・2階外周部・2階の順番で4つのレベルに小さく分節し、それらを階段やスロープ、すべり台でつなぐことであらゆる活動があらゆる場所から常に影響し合うような建築を目指しています。鉄筋コンクリート造2階建てです。
一方、南畑ピノキオ森のこども園はまさに農村地域の一角にあり、少子高齢化・過疎化が進んでいる場所ですが、この環境を魅力と感じ移住してきた方も多くいる地域です。定員は60人程度です。こちらは木造平屋建てで計画し、周囲の山々に呼応するように3つの屋根が連なった形状としています。さらに地域の方々が関わりやすいようなスペース(地域のえんがわ、土間、子育て支援室)を道路側に設け、建設中にも地域との交流イベントを設けながら農村地域ならではの住民との繋がり、過疎化する地域だからこそ住民同士の接点にもなるような密接な関係ををつくっていきたいと考えました。