湧水と土間床の家

長崎県島原市/住宅/2018年竣工

竣工写真:中村絵

構造設計:木村洋介 設備設計協力:シード設計社

INTERMEDIA all rights reserved 2017

敷地は我々の地元・活動拠点である長崎県島原市である。

島原市ではまちの至るところに湧き水が噴出しており、どの湧水所も透き通った綺麗な水のため、泥付きの野菜を洗ったり、洗濯物を水洗いしたり、食器を濯いだりする光景が見られる。そしてそれが自然と地域住民のコミニュケーションの場として成立している箇所も現存している。


とはいえ、なかなか湧水に関わる設計に携わることはあまり無いが、今回のプロジェクトでは敷地内で毎分30Lもの湧水が自噴していた。

そして施主夫婦としても、「泥付きの野菜や捌く前の魚を近所からよくもらうので、気軽に洗ったり捌けるような場所がほしい」という昔ながらの地域の繋がりが残る島原ならではの要望があったため、湧水と上手に付き合いながら暮らせる住まいが相応しいのではないかと考え、計画を進めていった。

敷地東側に接道があり、観光地駐車場や学校等が近接しなどパブリック性の高い場所であったため、まずは住宅の主要ヴォリュームを北東側にL字状に配置し、南西側にプライバシー性が高く開放的な場所となるような計画とした。


そして2つのヴォリュームの間に囲まれた位置にリビング・ダイニング・キッチンを配置し、室内から玄関・庭まで土間床を連続させ、南側の室内外が開放的となるような場としている。

その上に片流れの屋根をそっと架けた。

湧水は敷地北西側で自噴しており、まずは排水計画を確保した。雨水排水を兼ねたオープンな排水側溝を幅600mmで計画し、常に小さな川が流れているような状態としている。

その経路の一部に「せき板」を設け、水のたまり場を作ることとした。片流れの庇下にニッチな場所をつくり、ここで野菜や魚を洗ったり、子供の足洗い場となったりする。また、水温は常時15度程度で安定しており、野菜や飲みものなどを冷やしておく場としても利用できる。

せき板事例写真

更にもう一箇所せき板を設け、こちらでは南側の土間全面に湧水が流れるようにし、自然な

「打ち水」として利用できるようにした。


そして、片流れ屋根とその上部にある開閉式トップライトにより重力換気を促し、室内に涼しい空気を送り込むような計画としている。