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構造設計:円酒昂構造設計  照明協力:大光電機

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基壇地形の改修

長崎県諫早市/事務所/2019年竣工

写真:中村絵(特記以外全て)

敷地は長崎県諫早市。県内の主要幹線道路の一つである国道57号線(1日の交通量約25,000台)に面し、Jリーグチームの本拠地スタジアムにも近接しており、市民はもとより周辺地域の県民も頻繁に往来する場所である。視認性も高い。そのような場所に建設会社の新社屋を依頼された。


その交通量の多さや視認性の高さから、オフィススペースだけでなく不動産の窓口や注文住宅の商談スペース、または住まいにまつわるショップやカフェ等への展開可能性を持たせていきたい、という施主の要望はとても自然なことのように思えた。つまり、開かれたパブリックスペースとオフィスのプライバシー性の同居が求められたプログラムであった。


この敷地は断面に特徴がある。敷地ほぼ中央に1.2mの段差があり、道路から見て奥側が基壇のような格好になっていた。既存建物はこの基壇の上に建っていたのだが、上記のプログラムを考慮したとき、この基壇形状や階段位置をそのまま内包し、1.2mの高低差でパブリックからプライバシーまで程よい距離感で展開していけるのではないかと考えた。


その際、特徴的な階段や雁行した基壇形状も既存位置のまま活かすようにした。

周辺とはスムーズに接続出来るし、発生土/残土も最小限になるため合理性のある設計となった。

結果的にこの地形が元々孕んでいた空間性を再解釈するようなプロジェクトになったように思う。


実は元々、既存の鉄骨建物を改修利用することからこの計画はスタートした。その後既存不適格であることが判明し、既存建物の改修利用には合理性が無くなってしまったのだが、基壇地形そのものはこの形状を維持したまま新たな価値を見いだせそうだと思った。


また、この基壇地形も元を辿れば人為的である。地歴を調べると元から傾斜地だったことは分かったけれど、誰かが数十年前にこの地形を作ったのだ。その点でも「新築」とは少し違う操作なのかもしれないと思うようになった。

その経緯もあり、このプロジェクトは「建物」の改修から「基壇地形」の改修に置き換わったようなものだと捉え、基壇地形そのものが持っていたポテンシャルを最大限引き出し、建築空間として再解釈することを目指して設計を行った。

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