福田こども園

長崎県長崎市 保育園 2014年竣工

写真 中村絵 (特記以外全て)

構造設計:荒木美香/佐藤淳構造設計事務所

設備設計:シード設計社 照明計画:LIGHT・PLAN

INTERMEDIA all rights reserved 2017

保育園では、子どもと大人、いわば2つの異なる寸法/活動が常に共存している。しかし通常、他の機能と同様に建物はあくまで大人を基準として計画され、子どもの計画は家具、仕上げ、建具レベルで済まされる。かといって子供のためだけの空間では保育園として成り立たない。そこで、子どもと大人のどちらかに偏る事なく、それぞれに同時に寄り添うような空間を建築の骨格から計画することができれば、保育園建築の可能性が広がるのではないかと考えた。


天井と床、二つの水平面をでこぼこと上げ下げすることで、大人と子供それぞれの居場所を一つの空間に重ね合わせた空間とした。天井で大人の空間をつくり、床で子供の空間をつくっている。例えば、大人だけが届く収納が上部にありながら子供は走り回れる広い空間となっていたり、大人の見通しが外の庭まで広々と確保されながら子供には囲まれた落ち着いた寝室になっていたりする。天井/床が膨らんだスペースは子供の小部屋や、収納、設備機器のための空間となり、場所の性格によって天井高を変えてボリュームを調整している。


子どもと大人、2つの寸法/活動を丁寧にほどいて、再度重ね合わせた空間。子供たちにとってより発見的で、開放的な居場所になるのではないかと思う。